青空文庫

「第二菎蒻本」の感想

第二菎蒻本

だいにこんにゃくぼん

鏡花49
下町風土孤絶恋愛観の相対化叙情的懐古静謐

書き出し

一雪の夜路の、人影もない真白な中を、矢来の奥の男世帯へ出先から帰った目に、狭い二階の六畳敷、机の傍なる置炬燵に、肩まで入って待っていたのが、するりと起直った、逢いに来た婦の一重々々、燃立つような長襦袢ばかりだった姿は、思い懸けずもまた類なく美しいものであった。膚を蔽うに紅のみで、人の家に澄まし振。長年連添って、気心も、羽織も、帯も打解けたものにだってちょっとあるまい。世間も構わず傍若無人、と思わね

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