青空文庫

「行人」の感想

行人

こうじん

初出:「朝日新聞」1912(大正元)年12月~1913(大正2)年11月

夏目漱石639
下宿生活内省家族不和文壇交友分析的回顧的静謐

書き出し

友達一梅田の停車場を下りるや否や自分は母からいいつけられた通り、すぐ俥を雇って岡田の家に馳けさせた。岡田は母方の遠縁に当る男であった。自分は彼がはたして母の何に当るかを知らずにただ疎い親類とばかり覚えていた。大阪へ下りるとすぐ彼を訪うたのには理由があった。自分はここへ来る一週間前ある友達と約束をして、今から十日以内に阪地で落ち合おう、そうしていっしょに高野登りをやろう、もし時日が許すなら、伊勢から

2023/04/04

d736737c85beさんの感想

漱石の苦悩と一郎の苦悩が重なっていて、漱石の不安や苦悩がリアルに描かれていると思った。三角関係のような話だけれど、ある娘さんの話など考えさせられるシーンも多くあった。 自分に近い主人公の短所を逃げずに描いた漱石は文学者として優れている。

2020/11/07

19双之川喜41さんの感想

 病院生活の描写は 漱石自身の療養生活の裏打ちがあるせいか いきいきとしている。 物見遊山の場面は 薄く 陳腐である。 弟に そんなことを頼むなんて 精神が 壊れているのかなとも感じた。

2016/10/07

a3597077a8c4さんの感想

とても面白かった 会話の駆け引きが絶妙、というか戦っているみたいだ 出てくる人が皆リアル 漱石に一番近いのは兄だろうな 最後の、兄がこのままずっと眠っていられたら幸福なんだろうなあという言葉は残酷だと思う。死んだ方がましともとれるじゃないか 他の人と分かりあえるのは幻想だと思い知っては忘れてまた傷ついて、今が嫌で次の行動に移って移ってそれでも現状を肯定できないとか、幸せになる方法が何処かにあると感じ捕まえようと焦ったり、自分だけが生きるのが下手だと妙に確信してたり 何だか救いのない話のようにも思えます。あまり考えたくないようなことを真っ直ぐ書いちゃう夏目漱石に拍手 また月日を重ねてから読み直すと、違った感想を持ちそうです

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