青空文庫

「雪」の感想

ゆき

初出:「改造」1932(昭和7)年6月

文明開化自己認識芸術家描写叙情的孤絶軽妙

書き出し

遅い朝日が白み初めた。木琴入りの時計が午前七時を打つ。ヴァルコンの扉が開く。「フランスの貴族でアメリカ女の金持と政策結婚をした始めての人間はわしだつたのさ。」さう云ひながらボニ侯爵は軽騎兵の服を型取つた古い部屋着のまま中庭の雪へ下りて行つた。雪は深かつた。もう止んでゐた。「それからアメリカとフランスとの間にそれが流行となつて活動女優のグロリア・スワンソンまでがラ・ファレイズ侯爵と結婚するやうになつ

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