青空文庫

「二黒の巳」の感想

二黒の巳

じこくのみ

平出41
下宿生活作家の日常文壇交友叙情的懐古軽妙

書き出し

--種田君と一しよに梅見に行つて大森から歩いて来て、疲れた体を休ませたのが「桔梗」と云ふお茶屋であつた。「遊ばせてくれますか、」と種田君はいつもの間延な調子で云つたあとで、「エヘツヘヘ」と可笑しくもないのに笑ふと云つた風に軽く笑つた。私は洋服であつたが、種田君は其頃紳士仲間に流行つた黒の繻子目のマントを着て、舶来の鼠の中折帽を被つて居た。「いらつしやいまし、」と云つて上るとすぐ階子段を自分から先に

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