青空文庫

「我が子の死」の感想

我が子の死

わがこのし

初出:「国文学史講話」東京開成館、大坂開成館、1908(明治41)年3月15日

内省喪失と記憶文壇交友厳粛回顧的静謐

書き出し

三十七年の夏、東圃君が家族を携えて帰郷せられた時、君には光子という女の児があった。愛らしい生々した子であったが、昨年の夏、君が小田原の寓居の中に意外にもこの子を失われたので、余は前年旅順において戦死せる余の弟のことなど思い浮べて、力を尽して君を慰めた。しかるに何ぞ図らん、今年の一月、余は漸く六つばかりになりたる己が次女を死なせて、かえって君より慰めらるる身となった。今年の春は、十年余も足帝都を踏ま

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