だいぼさつとうげ
21 無明の巻
21 むみょうのまき
書き出し
一温かい酒、温かい飯、温かい女の情味も畢竟、夢でありました。その翌日の晩、蛇滝の参籠堂に、再びはかない夢を結びかけていた時に、今宵は昨夜とちがってしとしとと雨です。机竜之助は、軒をめぐる雨滴の音を枕に聞いて、寂しいうちにうっとりとしていますと、頭上遥かに人のさわぐ声が起りました。しとしとと降りしきる雨をおかして、十一丁目からいくらかの人が、この谷へ向って下りてくることが確かです。見上げるところの九…
倫敦塔
おしの
高瀬舟