青空文庫

「心臓盗難」の感想

心臓盗難

しんぞうとうなん

烏啼天駆シリーズ・2

うていてんくしりーず・に

初出:「オール読物」文藝春秋社、1947(昭和22)年3月号

海野十三27
奇人描写探偵小説日常の非日常怪奇軽妙

書き出し

深夜の事件黒眼鏡に、ひどい猫背の男が、虎猫色の長いオーバーを地上にひきずるようにして、深夜の町を歩いていた。めずらしく暖い夜で、町並は霧にかくれていた。もはや深更のこととて行人の足音も聞えず、自動車の警笛の響さえない。黒眼鏡にひどい猫背の男は、飄々として、S字状に曲った狭い坂道をのぼって行く。この男こそ、名乗りをあげるなら誰でも知っている、有名な頑張り探偵の袋猫々その人であった。彼こそは、かの大胆

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