青空文庫

「奇賊悲願」の感想

奇賊悲願

きぞくひがん

烏啼天駆シリーズ・3

うていてんくシリーズ・さん

初出:「実話と読物」1947(昭和22)年5月号

海野十三25
奇人描写探偵小説日常の非日常回顧的軽妙

書き出し

義弟の出獄烏啼天駆といえば、近頃有名になった奇賊であるが、いつも彼を刑務所へ送り込もうと全身汗をかいて奔走している名探偵の袋猫々との何時果てるともなき一騎討ちは、今もなお酣であった。その満々たる自信家の烏啼天駆が、こんどばかりは困り果ててしまった。散歩者の胸の中から心臓を掏り盗る技術も持っているし、一夜のうちに時計台を攫っていってしまう特技もある怪賊烏啼にとって、天下に困ることは一つもない筈だった

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