青空文庫

「秋日記」の感想

秋日記

あきにっき

民喜26
喪失と記憶歴史的背景病中苦悩内省的憂鬱静謐

書き出し

緑色の衝立が病室の内部を塞いでいたが、入口の壁際にある手洗の鏡に映る姿で、妻はベッドに寝たまま、彼のやって来るのを知るのだった。一号室の扉のところまで来ると、奥にいる妻の気配や、そちらへ近づいて行こうとする微かに改まった気分を意識しながら、衝立をめぐって、ベッドのところへ彼がやって来ると、妻はいたずらっぽい微笑で彼を迎える。すると彼には一昨日ここを訪れた時からの隔りがたちまち消えてしまう。小さな卓

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