青空文庫

「斗南先生」の感想

斗南先生

となんせんせい

初出:「光と風と夢」1942(昭和17)年7月15日

中島59
奇人描写家族不和文壇交友歴史的人物の描写内省的回顧的懐古

書き出し

一雲海蒼茫佐渡ノ洲郎ヲ思ウテ一日三秋ノ愁四十九里風波悪シ渡ラント欲スレド妾ガ身自由ナラズははあ、来いとゆたとて行かりょか佐渡へだな、と思った。題を見ると、戯翻竹枝とある。それは彼の伯父の詩文集であった。伯父は一昨年(昭和五年)の夏死んだ。その遺稿が纏められて、この春、文求堂から上梓されたのである。清末の碩儒で、今は満洲国にいる羅振玉氏がその序文を書いている。その序にいう。「予往歳滬江(上海のこと)

2019/10/25

b9ef941530ccさんの感想

中島敦の斗南先生は三造とその伯父について書かれたもの。性格の強情は伯父が死んでから、伯父の遺作書を読んで三造はその先見の明に感心する話。

2015/07/03

80a6b5c171cbさんの感想

斗南先生の性格や振るまいはすごく分かりやすい。こうゆう人はそこらじゅうにいる。しかし、これに学識と先見性が加わると、たしかに鼻持ちならない頑固者、変人が出来上がるだろう。 人は生きるために仕事をする。そして、遺伝子を残すために結婚(とは限らないが)をする。どちらもしない斗南先生は実際、役立たずな遊民だろう。 中島には実存主義的な傾向がみられるが、斗南先生の場合も、まず実存としての己を意識してから、本質をもとめる苦悩や執着をもち、ある種の諦めの中で漢詩集を残したりという生涯を送ってる。終わりの方で斗南先生の先見性に触れているから、たぶん体験談だと思う。中島敦は好き嫌いは別として斗南先生に共感している(作者だから当たり前か)。 面白かった。

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