青空文庫

「大菩薩峠」の感想

大菩薩峠

だいぼさつとうげ

15 慢心和尚の巻

15 まんしんおしょうのまき

中里介山223
孤絶歴史的人物の描写死の受容懐古静謐

書き出し

一お銀様は今、竜之助のために甲陽軍鑑の一冊を読みはじめました。「某は高坂弾正と申して、信玄公被管の内にて一の臆病者也、仔細は下々にて童子どものざれごとに、保科弾正鑓弾正、高坂弾正逃弾正と申しならはすげに候、我等が元来を申すに、父は春日大隅とて……」それは巻の二の品の第五を、はじめから、お銀様はスラスラと読みました。竜之助がおとなしく聞いているために、品の第六を読み了って第七にかかろうとする時分に、

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