青空文庫

「霜凍る宵」の感想

霜凍る宵

しもこおるよい

近松秋江120
下宿生活喪失と記憶家族不和孤絶鬱屈

書き出し

一それからまた懊悩と失望とに毎日欝ぎ込みながらなすこともなく日を過していたが、もし京都の地にもう女がいないとすれば、去年の春以来帰らぬ東京に一度帰ってみようかなどと思いながら、それもならず日を送るうち一月の中旬を過ぎたある日のことであった。陰気に曇った冷たい空っ風の吹いている日の午前、内にばかり閉じ籠っていると気が欝いで堪えられないので、また外に出て何の当てもなく街を歩いていたが、やっぱり例の、女

2021/05/07

b53e79cfe52cさんの感想

「黒髪」「狂乱」そしてこの「霜凍る宵」と三部作と言うより同じ作品の続き物でした。男と芸子との愛憎劇。なけなしの金を注ぎ込んだ男の狂おしいばかりの嫉妬、芸子に寄ってくる男の金を目当てに芸子を操るママ母、とくに解けない、もつれにもつれた男と女の関係を赤裸々に描いた究極の作品。

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