青空文庫

「泡鳴五部作」の感想

泡鳴五部作

ほうめいごぶさく

01 発展

01 はってん

初出:「大阪新報」1911(明治44)年12月16日~1912(明治45)年3月25日

岩野泡鳴286
下宿生活家族不和芸術家描写虚構と真実孤絶鬱屈

書き出し

一麻布の我善坊にある田村と云ふ下宿屋で、二十年來物堅いので近所の信用を得てゐた主人が近頃病死して、その息子義雄の代になつた。義雄は繼母の爲めに眞の父とも折合が惡いので、元から別に一家を構へてゐた。且、實行刹那主義の哲理を主張して段々文學界に名を知られて來たのであるから、面倒臭い下宿屋などの主人になるのはいやであつた。が、渠が嫌つてゐたのは、父の家ばかりではない。自分の妻子——殆ど十六年間に六人の子

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