青空文庫

「不審庵」の感想

不審庵

ふしんあん

太宰21
創作背景古典の翻案自己認識芸術家描写内省的叙情的回顧的

書き出し

拝啓。暑中の御見舞いを兼ね、いささか老生日頃の愚衷など可申述候。老生すこしく思うところ有之、近来ふたたび茶道の稽古にふけり居り候。ふたたび、とは、唐突にしていかにも虚飾の言の如く思召し、れいの御賢明の苦笑など漏し給わんと察せられ候も、何をか隠し申すべき、われ幼少の頃より茶道を好み、実父孫左衛門殿より手ほどきを受け、この道を伝授せらるる事数年に及び申候えども、悲しい哉、わが性鈍にしてその真趣を究る能

2023/03/19

鍋焼きうどんさんの感想

最初の長々とした候文は取っ付きにくく、先を危ぶんだが、口語文になり〈黄村先生〉の名が出た途端、不安が安堵に変わった。ドジで間抜けな漫画のような先生の行状が展開する。読後、再度最初の候文を読み返すとよく理解できる。

2018/05/12

ec538f32331eさんの感想

黄村先生第三 作。先生今回は、茶道に興味をお示しになり、お茶会を開催。丁寧な招待状を受け取った「私」は、にわか仕込みで、招待に応じるが、先生の茶道に対する解釈は、想像を絶する物であった。重々しい招待状と実際の茶会の対比が絶妙。尚、太宰の妻美和子によると、彼等は、彼女の母の茶会に、菓子酒目当てで出席、終始ゲラゲラ笑い続けて、メチャメチャな茶会になり、後日母より、茶道の本や茶碗、掛け軸等を送られた言うエピソードがあったという。黄村物が、三作のみに止まったのは、遺憾である。

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