青空文庫

「恐怖城」の感想

恐怖城

きょうふじょう

恋愛観の相対化日常の非日常静謐叙情的怪奇

書き出し

第一章1森谷牧場の無蓋二輪の箱馬車は放牧場のコンクリートの門を出ると、高原地帯の新道路を一直線に走っていった。馬車には森谷家の令嬢の紀久子と、その婚約者の松田敬二郎とが乗っていた。松田敬二郎が牧場の用事で真駒内の種畜場へ出かけるのを、令嬢の紀久子が市街地まで送っていくのだった。空は孔雀青の色を広げていた。陽は激しくぎらぎらと照りつけていた。路傍の芒が銀のように光っていた。「眩しいわ」紀久子は馬車の

1 / 0