青空文庫

「かげろうの日記」の感想

かげろうの日記

かげろうのにっき

初出:「改造」1937(昭和12)年12月号

辰雄81
喪失と記憶回顧的恋愛観の相対化自己認識内省的叙情的憂鬱

書き出し

なほ物はかなきを思へば、あるかなきかの心地するかげろふの日記といふべし。蜻蛉日記その一半生も既に過ぎてしまって、もはやこの世に何んのなす事もなく生きながらえている自分だが、——一たい顔かたちだって人並でないし、これと云った才能もあるわけではないのだから、こんな風にはかない暮しをしているのも尤もの事だとは思うものの、只こうやってぼんやりと明し暮しているがままに、世の中に多い物語などをおりおり取り上げ

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