青空文庫

「火の唇」の感想

火の唇

ひのくちびる

民喜27
喪失と記憶孤絶歴史的背景自己認識回顧的憂鬱静謐

書き出し

いぶきが彼のなかを突抜けて行つた。一つの物語は終らうとしてゐた。世界は彼にとつてまだ終らうとしてゐなかつた。すべてが終るところからすべては新らしく始まる、すべてが終るところからすべては新らしく……と繰返しながら彼はいつもの時刻にいつもの路を歩いてゐた。女はもうゐなかつた、手袋を外して彼のために別れの握手をとりかはした女は……。あの手の感触は熱つかつたのだらうか、冷やりとしてゐたのだらうか……彼はオ

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