ほうろうていしゅじん
初出:「小説新潮」1947(昭和22年)10月号
書き出し
砂風の吹く、うそ寒い日である。ホームを驛員が水を撒いてゐる。硝子のない、待合室の外側の壁に凭れて、磯部隆吉はぼんやりと電車や汽車の出入りを眺めてゐた。靴のさきが痛い。何だか冷たいものでも降つてきさうな空あひで、ホームの中央に吊りさがつてゐる電氣時計は、四時を一寸廻つて、四圍はもう昏さをたゞよはせて、如何にもあわたゞしい。若いうちは、中途半端な事に何の怖ろしさもなく、無性に自信を持つてゐたものだけれ…
19双之川喜41さんの感想
呑み屋の主人は 引き上げ者で 妻を 満州で亡くしている。 再婚話しが 持ち上がった頃 娘は 親所帯を持つ。 相手の女は 何処かに 消えてしまう。 男だって 放浪(崩浪)する。