青空文庫

「悪獣篇」の感想

悪獣篇

あくじゅうへん

鏡花115
怪奇歴史的背景虚構と真実幽玄鬱屈

書き出し

一つれの夫人がちょっと道寄りをしたので、銑太郎は、取附きに山門の峨々と聳えた。巨刹の石段の前に立留まって、その出て来るのを待ち合せた。門の柱に、毎月十五十六日当山説教と貼紙した、傍に、東京……中学校水泳部合宿所とまた記してある。透して見ると、灰色の浪を、斜めに森の間にかけたような、棟の下に、薄暗い窓の数、厳穴の趣して、三人五人、小さくあちこちに人の形。脱ぎ棄てた、浴衣、襯衣、上衣など、ちらちらと渚

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