もものあるふうけい
初出:「文藝」1937(昭和12)年4月号
書き出し
食欲でもないし、情欲でもない。肉体的とも精神的とも分野をつき止めにくいあこがれが、低気圧の渦のように、自分の喉頭のうしろの辺に鬱して来て、しっきりなしに自分に渇きを覚えさせた。私は娘で、東京端れの親の家の茶室作りの中二階に住んでいた頃である。私は赤い帯を、こま結びにしたまま寝たり起きたりして、この不満が何処から来たものか、どうしたら癒されるかと、うつらうつら持て扱っていた。人が、もしこれを性の欲望…
北村透谷詩集
暁と夕の詩
秋の瞳
19双之川喜41さんの感想
若い血潮が 逆流し あふれる情熱を もて余す。 「身の中のもちものを、せめて文章ででも始末しないうちは、死にきれないと思った。」よよと楽しく泣き濡れたという。 かの子 激情とでも言うべきか。