青空文庫

「忘恩」の感想

忘恩

ぼうおん

武士の倫理歴史的人物の描写死の受容厳粛懐古静謐

書き出し

土佐の侍で大塚と云う者があった。格はお馬廻り位であったらしいがたしかなことは判らない。その大塚は至って殺生好きで、狩猟期になると何時も銃を肩にして出かけて往った。某日それは晴れた秋の午後であった。雑木の紅葉した山裾を廻って唯ある谷へ往った。薩摩藷などを植えた切畑が谷の入口に見えていた。大塚はその山畑の間の小径を通って、色づいた雑木に夕陽の燃えついたように見える谷の窪地の方へ往こうとした。一匹の灰色

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