青空文庫

「大菩薩峠」の感想

大菩薩峠

だいぼさつとうげ

25 みちりやの巻

25 みちりやのまき

中里介山303
怪奇旅の情景時代劇歴史的人物の描写緊張静謐

書き出し

一武州沢井の机竜之助の道場に、おばけが出るという噂は、かなり遠いところまで響いておりました。ここは塩山を去ること三里、大菩薩峠のふもとなる裂石の雲峰寺でもその噂であります。その言うところによると、この間、一人の武者修行の者があって、武州から大菩薩を越え、この裂石の雲峰寺へ一泊を求めた時に、雲衲が集まっての炉辺の物語——音に聞えた音無の名残りを見んとて、沢井の道場を尋ねてみたが、竹刀の音はなくして、

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