心持について
こころもちについて
初出:「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
宮本百合子約3分
回顧的文学不信自己認識内省的孤絶
書き出し
或瞬間(思い出)正午のサイレンが鳴ってよほど経つ少し空腹工事場でのこぎりの音せわしい技巧的ななめらかな小鳥のさえずり、いかにも籠の小鳥らしい美しさで鳴くとつぜんガランガランと豆屋のベルの音がした。そして私は思い出した。刑務所のさむい朝と夜とを、主として夜をその音がどっか遠くで順々にきこえいつも最後に女舎で鳴り、机をたたんで床をしいたのを。今も宮がその音で床をしいているのを、彼の眉としまった少しへの…
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