青空文庫

「あとがき(『朝の風』)」の感想

あとがき(『朝の風』)

あとがき(『あさのかぜ』)

初出:「朝の風」河出書房、1940(昭和15)年11月

作家の日常創作背景自己認識叙情的回顧的

書き出し

この短篇集は私にとってもすこし風変りな集となった。一番はじめの「朝の風」は極く最近のものだけれど、次の「牡丹」以下の作品はずっと昭和の初めごろまでさかのぼっていて「小祝の一家」に到る間に多くの年月がこもっている。これまでに出版された本のなかへは入れていなかった作品をも今度はあつめておく心持になった。見ようによっては一つの年輪がここにあるとも云える。一本の樹木も成長してゆく過程には、越した冬の寒さや

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