二人の弟たちへのたより
ふたりのおとうとたちへのたより
初出:「輝ク部隊」第一輯、1940(昭和15)年1月1日発行
宮本百合子約7分
下町風土回顧的家族不和戦争描写叙情的懐古静謐
書き出し
火野葦平さんが先頃帰還されて、帰還兵の感想という文章を新聞にかいていました。そのなかで、最も私の心をうったことは、戦線にいる兵隊さんたちは、だれでもみんな故郷からのたよりを待っている。何でもない毎日のことを書いた、その何でもない手紙というものこそ待っているのだ、ということでした。これは全くそうだろうと思います。丁度その文章をよんだとき、従弟の一人でもう二年以上内蒙に出動しているのから手紙が来て、そ…
1 / 0