青空文庫

「十年の思い出」の感想

十年の思い出

じゅうねんのおもいで

初出:「文章倶楽部」1926(大正15)年8月号

創作背景女性解放家族不和自己認識内省的回顧的静謐

書き出し

文芸のような無限の仕事をするものにとって、十年という月日は決して長いものではありません、考えように依ってはほんの僅かな一瞬間に過ぎないのに。そればかりのことをいかにも大そうらしく、十年の思い出などといわれることが私はほんとに嫌いです。それに私は文壇というようなことを、余り意識に置いておりませんし、一時かなり長く仕事から遠ざかっていましたから、格好なことは何にもないのです。私は幼い時分から、本を読む

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