青空文庫

「沼」の感想

ぬま

死の受容自己認識虚構と真実孤絶幽玄静謐

書き出し

おれは沼のほとりを歩いてゐる。昼か、夜か、それもおれにはわからない。唯、どこかで蒼鷺の啼く声がしたと思つたら、蔦葛に掩はれた木々の梢に、薄明りの仄めく空が見えた。沼にはおれの丈よりも高い芦が、ひつそりと水面をとざしてゐる。水も動かない。藻も動かない。水の底に棲んでゐる魚も——魚がこの沼に棲んでゐるであらうか。昼か、夜か、それもおれにはわからない。おれはこの五六日、この沼のほとりばかり歩いてゐた。寒

2025/08/09

艚埜臚羇1941さんの感想

  昼か、夜か、それは おれにも わからない。同様の くだりが 四回 出てくる。精神的な 重圧感が 芥川を 押し潰す 寸前の 苦しさが 伝わって くる 様に 感じた。

2025/01/17

8eb05d040692さんの感想

妖しくも美しい幻想の世界。

2023/05/29

鍋焼きうどんさんの感想

幻想の世界を目の前に開いてくれる芸術家の技能。

2021/05/18

0036fe27d072さんの感想

要は気味の悪い沼から「船旅への招待状」の曲が聞こえそこへ「スマトラ忘れな草の花」を探しに行った。しかし沼に飛び込むと自分は死に死骸の口から伸び白い睡蓮の花が咲いた。それを見ている死んだ自分もいるというお話し。

2020/11/27

19双之川喜41さんの感想

 自死の 予感が 暗示されているような 気がしてならない。 昼か 夜か わからない 沼のほとりを 歩いているという。 沼の底に横たわり 口から茎が 水面にむかって 延び 白い睡蓮の花が 鮮やかな 蕾を破った。

2016/05/14

さとこさんの感想

短いながらも美しい言葉で連ねられた、しっとりと心に馴染む小説でした。沼という比較的暗い単語に少しずつ幻想を肉付けしていくような……普通の人間には到底わからないものを孕んでいるような気がします 昼読んでも夜読んでもそれぞれ響くものがありますのはやはり本文の影響でしょうか。

2016/05/14

芦屋のまーちゃんさんの感想

沼のほとりを歩く、というイメージだけで暗い。死を彷彿させる陰鬱さ。 沼の光なき底に自分の亡骸が沈んでいるイメージ。精神的にも肉体的にも限界を超えた妄想である。尋常ではない!悪夢でもそんな夢は見ない。 芥川もかなりヤバイ!

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