青空文庫

「忘れられぬ印象」の感想

忘れられぬ印象

わすれられぬいんしょう

回顧的文壇交友旅の情景懐古軽妙

書き出し

伊香保の事を書けと云ふ命令である。が、遺憾ながら伊香保へは、高等学校時代に友だちと二人で、赤城山と妙義山へ登つた序に、ちよいと一晩泊つた事があるだけなんだから、麗々しく書いて御眼にかける程の事は何もない。第一どんな町で、どんな湯があつたか、それさへもう忘れてしまつた。唯、朧げに覚えてゐるのは、山に蔓る若葉の中を電車でむやみに上つて行つた事だけである。それから何とか云ふ宿屋へとまつたら、隣座敷に立派

2025/08/12

艚埜臚羇1941さんの感想

   芥川が 伊香保温泉で 偶然 隣り合わせの座敷に 立派な紳士と 同宿となり その温泉好きの紳士と 六度も 一緒に 湯に入り あげくの はてに 湯当たりで ふらふらしながら こともあろうに 帰京の 交通費が 足りなくなり 鉄道駅で 紳士から 一円二十銭借りたという 作者自身が なにかと 思い出す 旅の 印象話である。かの紳士は 一人乗りの 小さな自動車を 製造する 野望を 持っていたようで 学生である 芥川達に 貸すかねなど 苦でもなかったろう。もし 紳士から 金を 借りられなかったら 竜之介は 温泉宿で お詫びに 宿の 三助として 湯舟の掃除でも していたかもしれないと 感じた。

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