空襲警報
くうしゅうけいほう
初出:「少年倶楽部」別冊付録、大日本雄弁会講談社、1936(昭和11)年7月
海野十三約120分
家族不和少年の日常歴史的背景叙情的緊張静謐
書き出し
日本海の夕日大きな夕日は、きょうも日本海の西の空に落ちかかった。うねりの出て来た海上は、どこもここもキラキラと金色に輝いていた。「美しいなあ!」旗男少年は、得意の立泳をつづけながら、夕日に向かって挙手の礼をささげた。こんな入日を見るようになってから、もう三日目、いよいよお天気が定まって本当の真夏になったのだ。「オイ旗男君。沖を向いて、一体誰に敬礼しているんだい」後から思いがけない声が旗男に呼びかけ…
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