青空文庫

「朝飯」の感想

朝飯

あさめし

初出:「芸苑」1906(明治39)年1月

季節の移ろい孤絶旅の情景貧困叙情的憂鬱懐古

書き出し

五月が来た。測候所の技手なぞをして居るものは誰しも同じ思であろうが、殊に自分はこの五月を堪えがたく思う。其日々々の勤務——気圧を調べるとか、風力を計るとか、雲形を観察するとか、または東京の気象台へ宛てて報告を作るとか、そんな仕事に追われて、月日を送るという境涯でも、あの蛙が旅情をそそるように鳴出す頃になると、妙に寂しい思想を起す。旅だ——五月が自分に教えるのである。いろいろなことを憶出すのもこの月

2023/10/10

00813f8b221dさんの感想

「衣食足りて礼節を知る」の手本のような話。 主人公の説教が男の心に響かなかった訳でもないだろうが、飢えた男にとっては「今日を生きなければ明日はない」訳で、この結末もある意味必然と言える。

2022/02/22

19双之川喜41さんの感想

 旅に病んだ男が 門付に 現れる。 十銭喜捨して ついでに 尺八吹きにでもなって 身をたてるように 偉そうに 説教を垂れる。 男が 出ていくとき 見届けていた 御手伝いによれば やっぱりそうだったのかと 思わざるを得なくなる。

2020/10/01

959475def6e6さんの感想

『破戒』に向けた前哨戦。主人公は気候観測所の職員。珍しく観測所を訪れた客に主人公が忠言を呈する。短いがどこか重苦しい。

2020/04/19

21f6eef5eed4さんの感想

五月、若葉の瑞々しさなどに黄昏ていると、若者が尋ねてくる。「朝飯も食べてませんで」といった風だ。自分も昔、物乞いをしたなぁと思って若者に銭を渡し、「何か特技を見つけて仕事をしてから、朝飯を食べなさい」と言った。その後、下女に聞いたら若者は早速飯屋に行っていたという。若者からすれば「説教はいいから飯が食いたい!」と。まあ大方そうだろう、そりゃそうだわな、と笑った。という話。まあ、空腹には勝てませんからね。

2018/09/08

いちにいさんの感想

物乞いに対し、説教する。 仕事しろと 仕事道具を買う為の金はあげる。 但し、飯をその金で食うな、と忠告。 自分は2つ(忠告と金)の物も与えてやった事に満足していた。人助けをしてやったのだ、と自画自賛。 ところが、その物乞いは期待を裏切って、即座に飯屋の中に消えてった。 彼に必要なのは説教ではなく「朝飯」だったというオチ。 さすが藤村だけある。短編でも面白い。

2017/05/18

180a01さんの感想

似たような話を随筆の中で読んだ記憶がある。これは藤村流の四コマ小説。

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