青空文庫

「めくら草紙」の感想

めくら草紙

めくらぞうし

初出:「新潮」1936(昭和11)年1月号

太宰18
創作背景文学不信自己認識虚構と真実不条理内省的鬱屈

書き出し

なんにも書くな。なんにも読むな。なんにも思うな。ただ、生きて在れ!太古のすがた、そのままの蒼空。みんなも、この蒼空にだまされぬがいい。これほど人間に酷薄なすがたがないのだ。おまえは、私に一箇の銅貨をさえ与えたことがなかった。おれは死ぬるともおまえを拝まぬ。歯をみがき、洗顔し、そのつぎに縁側の籐椅子に寝て、家人の洗濯の様をだまって見ていた。盥の水が、庭のくろ土にこぼれ、流れる。音もなく這い流れるのだ

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