青空文庫

「破片」の感想

破片

はへん

初出:「中央公論」1934(昭和9)年11月

寺田寅彦24
作家の日常文明開化科学的手法内省的分析的軽妙

書き出し

一昭和九年八月三日の朝、駒込三の三四九、甘納豆製造業渡辺忠吾氏(二七)が巣鴨警察署衛生係へ出頭し「十日ほど前から晴天の日は約二千、曇天でも約五百匹くらいの蜜蜂が甘納豆製造工場に来襲して困る」と訴え出たという記事が四日の夕刊に出ていた。これがどの程度に稀有な現象だか自分には判断できないが、聞くのは初めてである。今年の天候異常で七月中晴天が少なかったために、何か特殊な、蜜蜂の採蜜資料になるべき花のでき

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