青空文庫

「思い出草」の感想

思い出草

おもいでぐさ

初出:「東炎」1934(昭和9)年1月

作家の日常回顧的学問的考察文壇交友内省的懐古軽妙

書き出し

一芭蕉の「旅に病んで夢は枯れ野をかけめぐる」はあまりに有名で今さら評注を加える余地もないであろうが、やはりいくら味わっても味わい尽くせない句であると思う。これは芭蕉の一生涯の総決算でありレジュメであると同時にまたすべての人間の一生涯のたそがれにおける感慨でなければならない。それはとにかく、自分の子供の時分のことである。義兄に当たる春田居士が夕涼みの縁台で晩酌に親しみながらおおぜいの子供らを相手にい

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