青空文庫

「路傍の草」の感想

路傍の草

ろぼうのくさ

初出:「中央公論」1925(大正14)年11月

寺田寅彦22
学問的考察文明開化日常の非日常分析的叙情的軽妙

書き出し

一車上「三上」という言葉がある。枕上鞍上厠上合わせて三上の意だという。「いい考えを発酵させるに適した三つの環境」を対立させたものとも解釈される。なかなかうまい事を言ったものだと思う。しかしこれは昔のシナ人かよほど暇人でないと、現代では言葉どおりには適用し難い。三上の三上たるゆえんを考えてみる。まずこの三つの境地はいずれも肉体的には不自由な拘束された余儀ない境地である事に気がつく。この三上に在る間は

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