青空文庫

「灰燼十万巻」の感想

灰燼十万巻

かいじんじゅうまんかん

(丸善炎上の記)

(まるぜんえんじょうのき)

初出:「趣味」1910(明治43)年1月

内田魯庵29
喪失と記憶回顧的文明開化寂寥鬱屈

書き出し

十二月十日、珍らしいポカ/\した散歩日和で、暢気に郊外でも※※きたくなる天気だったが、忌でも応でも約束した原稿期日が迫ってるので、朝飯も匆々に机に対った処へ、電報!丸善から来た。朝っぱらから何の用事かと封を切って見ると、『ケサミセヤケタ。』はて、解らん。何の事ッたろう。何度読直しても『今朝店焼けた』としか読めない。金城鉄壁ならざる丸善の店が焼けるに決して不思議は無い筈だが、今朝焼けるとも想像してい

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