青空文庫

「夢」の感想

ゆめ

夢と現実孤絶虚構と真実寂寥静謐

書き出し

不圖昔の夢が胸に浮んで來た。私は或る山へ登らうとしてゐた。禿山で、頂には樹木も無い。草花が所々懸崕の端に咲いてゐる。私の傍には二人の小兒が居た。一人は男の兒で六歳ばかり、一人は女の兒で四歳ばかり、男の兒は先きに立つて登つて行く、女の兒は私の手に縋つて歩いてゐる、不圖懸崕の頂の草花が目に入つた。「あれ取つて頂戴な」女の兒は私に取りついて放れない。危いのを、右手で其兒を押へながら、身を曲めて、左手を伸

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