すぎこ
初出:「新女苑」1941(昭和16)年4月号
書き出し
ふた足み足階段を下りかけたところへ、日曜日の割合閑散なプラットフォームの日光をふるわすような勢で下りの山の手が突進して来た。柔かな緑色の服の裾だのいくらか栗色っぽいゆたかな髪の毛だのを自分の躯がおこす風でうしろへ生々と吹きなびかせながら、杉子は矢のように段々を駈け下り、真先の車へ乗ろうとした。が、近づいた一瞥でドアのそばに酔っ払いの顔を見つけると、そのまま若い娘の敏捷さでそこをかけぬけ、自動扉へ本…
風琴と魚の町
根岸お行の松 因果塚の由来
縮緬のこころ