青空文庫

「小村淡彩」の感想

小村淡彩

こむらたんさい

初出:「女性」1926(大正15)年1月号

下層階級の描写下町風土歴史的背景回顧的鬱屈

書き出し

お柳はひどく酔払った。そして、「誰がこんなところにいるもんか、しと!ここにいりゃあこそ小松屋の女中だ、ありゃあ小松屋の女中だとさげすまれる。鎌倉へ帰りゃあ、憚りながら一戸の主だ。立派な旦那方だって、挨拶の一つもしてくれまさあ」と啖呵を切って、暇をとってしまった。喧嘩相手であったせきは、煮え切らない様子であとに残った。喧嘩の原因は、お柳の客の小間物屋が、せきばかりをこっそり海浜博覧会へ連れ出そうとし

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