狼森と笊森、盗森
オイノもりとざるもり、ぬすともり
初出:「イーハトヴ童話 注文の多い料理店」盛岡市杜陵出版部・東京光原社、1924(大正13)年12月1日
宮沢賢治約15分
童話的ファンタジー自然と人間の冥通農村の生活叙情的静謐
書き出し
小岩井農場の北に、黒い松の森が四つあります。いちばん南が狼森で、その次が笊森、次は黒坂森、北のはづれは盗森です。この森がいつごろどうしてできたのか、どうしてこんな奇体な名前がついたのか、それをいちばんはじめから、すつかり知つてゐるものは、おれ一人だと黒坂森のまんなかの巨きな巌が、ある日、威張つてこのおはなしをわたくしに聞かせました。ずうつと昔、岩手山が、何べんも噴火しました。その灰でそこらはすつか…
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