青空文庫

「壊滅の序曲」の感想

壊滅の序曲

かいめつのじょきょく

民喜80
内省日常の非日常歴史的背景回顧的憂鬱静謐

書き出し

朝から粉雪が降っていた。その街に泊った旅人は何となしに粉雪の風情に誘われて、川の方へ歩いて行ってみた。本川橋は宿からすぐ近くにあった。本川橋という名も彼は久し振りに思い出したのである。むかし彼が中学生だった頃の記憶がまだそこに残っていそうだった、粉雪は彼の繊細な視覚を更に鋭くしていた。橋の中ほどに佇んで、岸を見ていると、ふと、「本川饅頭」という古びた看板があるのを見つけた。突然、彼は不思議なほど静

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