青空文庫

「水の東京」の感想

水の東京

みずのとうきょう

幸田露伴36
下町風土歴史的背景都市の異化叙情的懐古静謐

書き出し

上野の春の花の賑ひ、王子の秋の紅葉の盛り、陸の東京のおもしろさは説く人多き習ひなれば、今さらおのれは言はでもあらなん。たゞ水の東京に至つては、知るもの言はず、言ふもの知らず、江戸の往時より近き頃まで何人もこれを説かぬに似たれば、いで我試みにこれを語らん。さはいへ東京はその地勢河を帯にして海を枕せる都なれば、潮のさしひきするところ、船の上り下りするところ、一条二条のことならずして極めて広大繁多なれば

2026/02/24

艚埜臚羇1941さんの感想

  水の都ヴェニスは 世界的に有名で あるけど 我が国では 往時 水運のために 数多くの橋が 架設されたようだ。そこで 水の都 東京と なる。江戸の 地名の 目まぐるしい 変遷を 調べる 歴史的な 資料は さまざまな ものが 知られている けれど 露伴の 調査ツールは 紙資料では 無かったのかも しれないと ふと 感じた。

2019/08/14

ハルチロさんの感想

漢書文語体に慣れている方には、相当に面白い“水路から観る東京地誌”といえる作品です。現代でも、都内皇居以東を散策すると、本作品に描かれる情景や橋や堀の名跡に出会う。江戸時代、“東京”は『八百八町』と称され、“人”と“物”が盛んに行き来していた。そのため、交通路として“水路”が発達していた。大阪は、『八百八橋』と称される“商業都市”であるが、“東京”も劣らず“水路”と“橋”の都であったことが、この作品から想像される。

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