青空文庫

「仙人」の感想

仙人

せんにん

初出:「新思潮」1916(大正5)年8月

下層階級の描写奇人描写病中苦悩孤絶憂鬱

書き出し

上いつごろの話だか、わからない。北支那の市から市を渡って歩く野天の見世物師に、李小二と云う男があった。鼠に芝居をさせるのを商売にしている男である。鼠を入れて置く嚢が一つ、衣装や仮面をしまって置く笥が一つ、それから、舞台の役をする小さな屋台のような物が一つ——そのほかには、何も持っていない。天気がいいと、四つ辻の人通りの多い所に立って、まず、その屋台のような物を肩へのせる、それから、鼓板を叩いて、人

2025/07/19

艚埜臚羇1941さんの感想

 ある町の  屠者(としゃ)を していた男は 仕事の かたわら ネヅミ遣(つかい)もして  乞食と  同様の  生計を  立てていた。その屠者には  たまたま 仙人となる 機会が 訪れ たので 貧者に 金を与えたりして にわかに 金が自由になると 驚くほどの 施しをして かえって 金を 貰った者を 仰天させた。乞食は その仙人から 金を貰ったことを なかなか 人が 信じては くれないので もらっておいた 怪しげな 書き付けを 皆に 見せて 仙人の存在を 強調して 見せる。少し だけは おもしろいとは 感じた。 

2023/03/03

白川千秋さんの感想

芥川さんの「仙人」が3種類あることにビックリ。 「青空朗読」できいた作品の「仙人」を文字で確認してから感想書こう、 と思ったら動作不具合で書き込めず。 芥川さんの他の作品の表現傾向と比較して、漢文の雰囲気と厳かな品が漂う本作が一番芥川さんっぽいことが影響しているのかも。 屠殺(判官の仕事の揶揄?)の影響で死ねなくなったのを仙人と称している印象も。 主人公がいう鼠も何かの投影っぽい。 映画「グリーンマイル」のトム・ハンクスさん演ずる死刑執行人とネズミの寿命が伸びたのと類似の相関・因果の雰囲気。 上には上が、下には下が。 四句の詩句には死苦の沼奥深そう。

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