青空文庫

「蠅」の感想

はえ

初出:「ぷろふいる」1934(昭和9)年2月号~9月号

海野十三56
SF的想像力作家の日常学問的考察怪奇静謐

書き出し

小春日和の睡さったらない。白い壁をめぐらした四角い部屋の中に机を持ちこんで、ボンヤリと肘をついている。もう二時間あまりもこうやっている。身体がジクジクと発酵してきそうだ。白い天井には、黒い蠅が停っている。停っているがすこしも動かない。生きているのか、死んでいるのか、それとも木乃伊になっているのか。それにしても、蠅が沢山いることよ。おお、みんなで七匹もいる。この冬の最中に、この清潔な部屋に、天井から

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