げんだいごやく つれづれぐさ
初出:「現代語譯國文學全集 第十九卷 徒然草・方丈記」非凡閣、1937(昭和12)年4月5日
書き出し
序鬱屈のあまり一日じゅう硯にむかって、心のなかを浮かび過ぎるとりとめもない考えをあれこれと書きつけてみたが、変に気違いじみたものである。一何はさて、この世に生まれ出たからには、望ましいこともたくさんあるものである。帝の御位はこのうえなく畏れ多い。皇室の一族の方々は末のほうのお方でさえ、人間の種族ではあらせられないのだから尊い。第一の官位を得ている人のおんありさまは申すにおよばない。普通の人でも、舎…