青空文庫

「なきがら陳情」の感想

なきがら陳情

なきがらちんじょう

於菟18

書き出し

僕は自分の大学の新築四階建の三階角の部屋で、台風何号かが九州南方海上で日本本土か、朝鮮方面か、どっちへ抜けようかと、思案投げ首のもやもやに感応して、ただの残暑よりも頭が重く、廻転椅子にぐったりして、うつらうつら昔を思い浮べている。工場まがいのビルの連立に偉容を誇る近代の新制大学とちがって、医学部なんぞも、空をつく欅並木に沿うて並んだ一つ一つの赤煉瓦のドッシリした独立建物が、主任教授たる大先生の権威

2026/02/25

艚埜臚羇1941さんの感想

  その昔 陸軍士官学校は 士官の 候補生達を 東大 医学部 解剖学教室に 定期的に 見学に派遣していた。何のためかと 尋ねてみたら 勇気を 植え付けるためと 答えたという。なきがらは 大家さん みたいなもので 店子たる 借家人は 相応の 敬意を なきがらに たいして 払う 必要があると 森教授は 説く。薄気味悪い メルヘンの ようでも あるけど この 見立ては なかなか 説得力を持つと 感じた。

2025/11/13

decc031a3fabさんの感想

身体を大切にしろ、というなきがらからの陳情。「店子」は「借家」を勝手に使いがちという例え話が、ただのユーモアに留まらない大事な話題になっているが、ちょっと捻りが過ぎたかな?もっとも幾重にもねじらないとこうして書けない話題だが。

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