さいとうもきちのしをかなしむ
初出:「短歌研究 第十卷第四號」日本短歌社、1953(昭和28)年4月1日
書き出し
友の死を聞きししばらく京の夜の炬燵もさむくもの言はずけり觀潮樓歌會に寄りし友おほく世を去りたるにわが茂吉また如月の下浣の童馬忌來るごとに京の寒さもうべとおもはむわれやなほ無頼なりしよ「赤光」のおひろの歌を愛でたるころは淺草の觀音堂ををろがめる友の寫眞を取り出かなしむうで玉子買ひたる歌をおもふとき淺草夜空目にうかび來る寛左千夫信綱茂吉と膝並めて歌つくりしも明治の末か長崎に陳玉といふむすめゐて友と往き…