青空文庫

「珊瑚集」の感想

珊瑚集

さんごしゅう

仏蘭西近代抒情詩選

ふらんすきんだいじょじょうしせん

初出:死のよろこび「讀賣新聞」1909(明治42)年5月18日

永井荷風58

書き出し

死のよろこびシヤアル・ボオドレヱル蝸牛匍ひまはる泥土に、われ手づからに底知れぬ穴を掘らん。安らかにやがてわれ老いさらぼひし骨を埋め、水底に鱶の沈む如忘却の淵に眠るべし。われ遺書を厭み墳墓をにくむ。死して徒に人の涙を請はんより、生きながらにして吾寧ろ鴉をまねぎ、汚れたる脊髄の端々をついばましめん。あゝ蛆虫よ。眼なく耳なき暗黒の友、汝が為めに腐敗の子、放蕩の哲学者、よろこべる無頼の死人は来れり。わが亡

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