青空文庫

「檀一雄「リツ子・その死」」の感想

檀一雄「リツ子・その死」

だんかずおリツこそのし

――創芸社刊――

――そうげいしゃかん――

初出:「人間」目黒書店、1950(昭和25)年6月号

民喜6

書き出し

「リツ子・その愛」はまだ届かないので、先日お届け下さつた「その死」の方だけ只今、読み了へました。どうして、あなたは私にこの作品の感想を書かせようとなさるのでせう。私が七年前に妻を喪ひ、そのことを少しばかし作品に書いたりしてゐるからでせうか。それなら却つて、私のやうなものは、この書物を正しく解読できないのではないでせうか。私は最初の一頁から最後の二八六頁まで、絶えずこの懸念に纏ひつかれてゐました。そ

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