青空文庫

「かげろふ断章」の感想

かげろふ断章

かげろうだんしょう

初出:蟻「少年詩人 四号」1924(大正13)年11月

民喜20

書き出し

昨日の雨散歩誰も居てはいけないそして樹がなけらねばさうでなけらねばどうして私がこの寂しい心を愛でられようか蟻遠くの路を人が時時通る影は蟻のやうに小さい私は蟻だと思つて眺める幼い児が泣いた眼で見るやうにそれをぼんやり考へてゐる机何もしない日は過ぎてゐるあの山はいつも遠いい四月起きもしない外はまばゆい何だか静かに失はれてゆく眺望それは眺めるために山にかかつてゐたがはるか向うに家があるなど考へてゐるとも

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