青空文庫

「映画界・小言幸兵衛」の感想

映画界・小言幸兵衛

えいがかい・こごとこうべえ

―泥棒しても儲ければよいは困る‼ ―

どろぼうしてももうければよいはこまる

初出:「文藝春秋 昭和三十三年十一月号」文藝春秋新社、1958(昭和33)年11月1日

書き出し

阿呆が監督しても客は来る蟻を見るたびに感心する。よくも精を出して働くもので、一匹ぐらい石ころの蔭で昼寝をしていてもよさそうなものだが、とんと見当らない。そこにゆくと、人間は有難い。程々に生きることも勝手だ。どう生れ変っても蟻だけには生れたくないものだ。私が一年に一つしか映画を作らないのは、必ずしも怠けているからではないのだが、今年は映画界も総蹶起というわけで、私も『彼岸花』に続いて、年内にもう一本

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